JOA日本眼鏡眼鏡技術者協会

 (社)日本眼鏡技術者協会
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   天野 力

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メガネレンズの選び方

 メガネレンズの素材による違い

【その1】 ガラスとプラスチックによる違い

かつてはメガネのレンズといえばガラスでしたが、今ではプラスチックが当たり前のようになっています。プラスチックレンズも屈折率の高い素材の開発と設計の進歩により「薄く」仕上げる事が可能になり、反射防止コートの「傷つきにくさ」も改善されています。では、かつて主流であったガラスレンズは、もはや時代遅れなのでしょうか?

 

同じ条件でのプラスチックレンズとガラスレンズの違い
軽さ プラスチックレンズのほうが優れています。
薄さ 最も薄いプラスチックレンズより、最も薄いガラスレンズのほうが薄くなります。
割れにくさ プラスチックレンズのほうが優れています。
傷つきにくさ ガラスレンズのほうが優れています。
耐熱性 ガラスレンズのほうが優れています。
耐酸性
耐アルカリ性
ガラスレンズのほうが優れています。プラスチックレンズは表面のコート膜が劣化します。

このように「ガラスレンズが時代遅れ」などということはありません。

随分前の事ですが、長年ガラスレンズをお使いの強度近視のお客様に、新製品の薄型プラスチックレンズを「すごく軽くなりますよ」ということでお作りいただいたのですが、半年もしないうちに傷だらけになってしまい、ガラスレンズに交換したことがありました。私の説明も足りなかったのかもしれませんが、拭き方ひとつとっても、ガラスレンズの頃の習慣は簡単には変えられなかったのです。お客様がご使用になる環境や、ご使用方法を考慮してレンズの素材を選ぶこともメガネを快適にお使いいただくためには必要だと思います。単純に「メガネレンズはプラスチックが当たり前」では眼鏡技術者として片手落ち、ということです。重くなりがちな強度近視の方のメガネも、ウスカル枠とガラスレンズ組み合わせれば、軽くて傷になりにくいメガネに仕上げることができるのですから。

【その2】 屈折率による違い

当店ではガラスで5種類、プラスチックで7種類の屈折率のレンズを扱っております。一般的に、屈折率が高いほどレンズは薄くなります。それほど強い度数でなければ、いわゆる薄型高屈折率レンズでなくても大丈夫です。しかし3mmの縁厚でも気になさる方もいらっしゃれば、5mm超でも全然気にしない方もいらっしゃいます。当店では2.5mmから9mmまでの厚み見本をご用意しております。

【その3】 比重による違い

プラスチックレンズの比重は1.3前後〜1.5弱、ガラスレンズは2.5くらい〜3.99ほどですから、軽さではプラスチックレンズが圧倒的に有利です。強度近視の方が大きめのフレームで超高屈折率ガラスレンズを使うと、それこそズッシリと重くなります。

【その4】 アッベ数による違い

屈折率の高い薄型素材になると、レンズを通過した光が、紫から赤まで、虹の7色のように分散され、各色でピントのズレが起こります。その結果、レンズ周辺が色づいて見えたり、見え方のシャープさの低下などを感じる場合があります。ただし個人差がありますので、すべての方が自覚するわけではありません。(色分散・アッベ数とは?

 

 メガネレンズの設計による違い

最近はやりの「非球面レンズ」というのがあります。それに対して「球面レンズ」もあるのですが、「非球面レンズ」は高品質で歪みが少なく、「球面レンズ」は旧式で歪みが多い、という間違った伝わり方をしているように思えてなりません。

その原因のひとつは「レンズを通して格子縞を見た場合の写真」です。メガネ関連のHPでご覧になった方も多いと思いますが、球面レンズでは格子縞の周辺部が歪み、非球面レンズでは歪みが出ない、という比較写真です。あれにはカラクリがあります。絶対に鵜呑みにしてはいけません。

球面設計から非球面設計(あるいはその逆)に掛け替えたときに違和感を覚えるケースはあるようです。なお、同じ素材なら非球面設計のほうが薄さでは有利ですが、どのくらい薄くなるかは条件によります。また、プラスレンズ(凸レンズ)では非球面設計のほうが前面の出っ張りを少なくできるというメリットもあります。

 

 

屋外でも室内でも快適な調光レンズ

 便利な調光レンズ

外出時に眩しいと感じることはありませんか?屋外では、直射日光、路面からの照り返し、間接光など、さまざまな光に取り巻かれています。無色あるいはごく薄いカラーのレンズをご使用の場合、室内では快適でも屋外では眩しいと感じる方は少なくないのではないでしょうか?

眩しさ抑えるには濃いめのカラーレンズ(サングラス)が有効です。室内ではクリアレンズ、屋外ではサングラスと使い分けるのもひとつの方法ですが、持ち歩くのは厄介だし、いちいちかけ替えるのも面倒ということもあります。そこでオススメなのが、紫外線量に応じてカラー濃度が変化する調光レンズです。室内など紫外線量が少ない環境ではほとんど無色か薄いカラー、屋外など紫外線量が多くなるにつれ濃い色になります。「色が変わるから変光(へんこう)レンズ」と誤解なさっておられる方がいらっしゃいますが、「調光(ちょうこう)レンズ」が正しい名称です。

 

室内
 
日陰や薄曇りの屋外
   
晴天の屋外

 

 

私がメガネを使い始めたのが昭和50年、最初のメガネは、ニコンの「フォトグレー」というガラスの調光レンズでした。その頃の調光レンズといえば、反射防止コートはついていない、色の戻りが遅い、使っているうちに変な色が残ってしまう、という欠点の多いレンズでした。しかし個人的には調光レンズが大好きで、その後も改良され新製品が出るたびに使い続けています。現在は遠近累進のプラスチック調光レンズを、おもに休日の外出や旅行などで使用していますが、とても重宝しています。最近のものは色の戻りが早くなりました。さらに、偏光機能を持たせた調光レンズ、紫外線だけでなく可視光線にも反応する偏光調光レンズも発売されています。

調光レンズは好天で日射しが強い場合、薄暮や曇天の場合など、紫外線量に応じて濃度が変化します。紫外線量が多いほど、気温が低いほど濃くなります。たとえば夏の海岸よりも冬のスキー場の方が濃くなる条件が揃っています。自動車のフロントガラスはUVカット仕様なっていることがほとんどのようですので、可視光線にも反応するレンズを除き、色は濃くなりませんからサングラスとしての役割は期待できません(もちろんオープンカーは別ですが)。

オン・オフ兼用でお使いになる場合、色の戻りがが早くなったとはいえ、瞬時に退色するわけではありませんから、お仕事に影響しないか、安全に問題ないかどうかをお考えの上でお使いください。

 

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