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メガネって道具、それとも小道具?
本来メガネは視力を補正したり、目を保護したりする道具です。と同時にメガネはファッションの小道具として様々な使われ方をしています。ひとむかし前、大きいサングラスを頭の上に乗せるというのが流行りました。今でもよく見かけます。野球やゴルフの選手がスポーツタイプのサングラスで同じことをやってますが、あれはカッコイイと思います。
宮崎県知事の鼻メガネはちょっとしたブームになりました。それとは関係ないんでしょうが、最近、メガネがズリ落ちた状態でかけている若い方をよく見かけます。流行なのかと思いきや、どうも全部がそうではなさそうです。「睫毛がレンズに触ると言ったら、下げてかけるよう店員にアドバイスされた」という話を聞いて唖然としたことがあります。ズリ落ちたままかけている方のメガネ(他店製)をフィッティングして差しあげたら「メガネはズルズル下がってしまうものなんだと思っていた、こんなにピッタリになるんですね」と喜ばれたのですが、特に難しいフィッティングではなかったので、何とも複雑な心境でした。
メガネの価格って・・・
値頃感には個人差がありますが、少なくとも価格に見合った満足が得られないと高い買い物をしたということになります。「裸眼で見るより見やすけりゃいいんだ」という方には5,000円でも「高い買い物」かもしれませんし、なかなか解決しなかったメガネの悩みが、ようやく解決できたとなれば10万円でも「安い買い物」かもしれません。
●チラシの値段を信用して買いに行ったら、薄型軽量だとか非球面だとか、よくわからない理由でオプション価格が上乗せされ、店員の言うがままで、結局予算を大幅にオーバー。
●均一料金の店に遠近両用を買いに行ったら「遠近両用は慣れにくいから遠近別々の方がいいですよ」とすすめられ、結局2本分の値段になってしまった。でも遠近両用は本当に使いにくいのか?
なんて目に遭うと、もう不思議というよりメガネ屋不信に陥ってしまいそうですよね。「5,000円のメガネはチョット心配だけど2万円出せば大丈夫だろう」と思われますか?ところがそうではないんです。たとえ2万円だろうと10万円だろうと、そのメガネを調製するための「知恵と技」が稚拙であれば良いメガネができる可能性は低いと言わざるを得ません。すなわちフレームとレンズが高品質だ、有名メーカーだ、などというだけではダメなのです。最高級の米と魚を使っても、「腕が悪い、手間をかけない」では最上の寿司にはならないのと同じことです。
本来は高度な「メガネの専門性」
メガネを扱っているからメガネ専門店なのでしょうか?メガネ屋に勤めているだけでメガネのプロなのでしょうか?メガネ屋は本来専門性の高い職業なのですが、測定機や加工機が進歩していることもあり、度数によっては、にわか仕込みの知識や技術で簡単に作ろうと思えばそこそこ出来てしまうのがメガネの怖いところです。わが国には眼鏡技術者の国家資格というのはありません。基準がないのですから専門知識や技術の格差というのは相当なものです。非常に高い技術と知識をもった人もいれば、その逆の人もいるわけです。考えてみれば国家試験をパスしなければなれない職業でも技術格差はあるのですから、それも当然かもしれません。では検査や加工やフィッティングなどの技術面にはタッチしない、販売専門の店員ならば誰でもできる簡単な仕事なのでしょうか?
フレームやレンズはどうやって選ぶ?
お店に入ったら、店員がつきまとって煩わしい、そんな経験どなたも一度や二度はあると思います。自分の欲しい物は自分で選ぶ、店員にはいろいろ言われたくないという方もいらっしゃるでしょう。でもお店の専門家に的確なコンサルティングをしてもらう方が、より良い結果を得られるものもあります。靴や枕などがよい例ですが、メガネもその一つです。メガネもファッションアイテムの一つですから、あまりカタい事ばかりでもつまらないのですが、ファッションアイテムの一つであるが故にフレームのデザインは多様化しています。「流行だから」「有名人がかけているから」などの理由からご自身の判断だけで選ぶというのはおすすめできません。また、レンズの厚さや重さは事前に知ることも可能です。度数によっては薄型が必要であったりなかったり、使用状況によっては傷付きにくい仕上げやガラスレンズが向いていることもあります。
良いメガネを調製するためには、検査や枠入れ加工の技術以外にも、瞳孔距離・顔幅・鼻や耳などの形状や位置、処方度数など様々な要素を考慮したフレーム選び、レンズ選びをしなければなりません。ですから専門家による丁寧なコンサルティングが不可欠です。メガネ店では技術者だけでなく販売員もそれなりの知識が本来必要なのです。
フレームはお客様に自由に選んでもらい、レンズ選びは「この度数だとこの屈折率のレンズです」とマニュアル通りに説明するだけ、フレームのフィッティングはほとんどしないという、まるでメガネに専門家は不要と言わんばかりのシステムのお店もあるようですが、メガネは単なるファッション雑貨ではありません。また、屈折検査は簡単で時間をかけない、そう強くない度数でもオプション価格と称して薄型非球面レンズをやたらとすすめる、というやり方も知識や技術をそれほど必要とはしないでしょう。
メガネに限らず、技術が軽んじられ「手間はかけない、だから安い」という昨今の風潮ですが、「ちゃんと測って、ちゃんとコンサルティングして、ちゃんと加工して、ちゃんとフィッティングして質の良いメガネを提供して欲しい」とお考えの方も大勢いらっしゃると、私は思っています。「メガネは高いのが当たり前なんだ、1万円や2万円のメガネなんてろくなもんじゃない」と言っているのではありません。専門性を犠牲にした安売りはそれこそ本末転倒です。当店は低価格を売り物にするつもりはまったくありませんが、リーズナブルな価格でもご提供出来る努力はしています。もちろん価格によって手抜きをするようなことはしません。しかし、メガネは機械で量産できるものではありませんので、リーズナブルな価格設定にも限度があるのです。
レンズだけ、あるいはフレームだけ交換できる?
このご質問はよくお受けします。お気に入りのフレームだったり、レンズにたいして傷もなく、見え具合に不自由がないとなれば、そう思われるのも無理はありません。なるべくご要望にお応えするようにしています。ただ、状況によってはお受けできない場合があります。
●フレームを使用できない場合
錆や腐食、ロー付け箇所の劣化が著しい場合や、もともと品質に問題がありそうだったり、製造元がはっきりしないフレームはお断りすることがあります。また、既製老眼鏡や低価格の既製サングラスは、ほとんどが枠入れ加工を前提とした品質ではありませんのでお受けできません。
●レンズを使用できない場合
傷やコート膜の劣化が見られる場合は、枠入れ加工の際に破損やコート膜の剥離の恐れがありますのでお受けできません。
レンズを使ってフレーム交換するのは簡単ではありません。「今までより小さいフレームを選んでレンズを削ればいいんだろう」と思われるかもしれませんが、光学中心(または幾何学中心)の位置や、乱視の軸(方向)を考慮しながらのフレーム選びはかなり制限されます。そんなとき有効なのがウスカル枠です。もともと強度近視の方のために品揃えしているのですが、「小さめの玉型と広めの鼻幅」がとても融通が利くのです。プラスチックレンズの場合、コートが剥がれないよう神経を遣いますが、私は「フレーム替え」は好きな仕事です。
メガネのアフターケア
型直し・ネジの緩み・クリーニングなど、メガネはアフターケアが不可欠です。そして、それは販売した店が行うのが基本です。当店でお買い上げいただいたメガネのメンテナンスは原則として無料で行っています。勤務先やご自宅から遠方の店で購入なさった場合、わざわざ出向くのが大変ということがありますが、緊急事態でない限り、都合をつけてその店でメンテナンスを受けることをおすすめします。あなたのメガネのことは作った技術者が一番わかっているからです。
面識のない方から「掛け具合いを直してくれ」と頼まれると、正直なところ戸惑います。簡単な直しは無料でさせていただきますが、それ以外はお代をいただくことになりますし、万一破損したときの補償も出来ません。ですからある程度まで直して、あとはご購入店できちんと直していただくようお話しします。ただ、購入したお店に持って行ったが、何らかの理由で直せない、不具合が解決しない、「あんたのとこで何とかしてくれ」と言う場合は、もちろん出来るだけのことはさせていただきます。
私がこの業界に入った30数年前、すでに「メガネのメンテナンスはタダ」という変な慣習があり、現在でもその流れを引きずっている面があります。しかし掛け具合を直す「フィッティング」と呼ばれる技術は簡単ではありません。破損というリスクも伴いますので安請け合いはできないのです。
メガネをお求めになるときにはこんなコトをお忘れなく
  ●真面目な信頼できるお店を選ぶと「予算を大幅オーバー」にはなりにくい。
  ●「価格訴求」の広告は、小さい文字で書いてあるところをしっかり読んで。
  ●「安いよ安いよ」にはワケがある。本当に割安な価格なのか、よーく考えて。
  ●「一式○千円」や「店内全品均一価格」に高度な専門性を求めるのは無理な話。
  ●有名人を使った宣伝と、良いメガネづくりとは必ずしもイコールではない。
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